鈴木大拙館

座長座長

こんにちは、金沢座 座長のスミタです。

日本人なら心得ておきたいものである“禅”。そんな禅の大家として知られているのが鈴木大拙さんです。大拙さんが残した言葉に、禅は本性を見抜くすべであるという言葉があります。

禅の世界に入り込むことは、自らの本性を知るすべとなるのです。我慢やストレス、自我を押し込めることが多い現代社会の中で、大拙さんの言葉は心の奥深くに響き渡るように感じます。今回はそんな日本の偉人、鈴木大拙さんについてご紹介していきましょう。

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鈴木大拙さんを知る

鈴木大拙さんは、石川県の金沢市にある本多町出身です。過去には英語教員として働いていたこともあるほど語学力が達者で、学問に対して強い熱を持っていた方といえるでしょう。

大拙さんがその名を世界中に知られるようになったきっかけは、“禅”を広めたためです。

禅って何?

サンスクリット語からきているこの言葉は、精神の集中という意味を持っています。信仰ではなくあくまでも修行というスタンスで、言葉や文字だけでは表せないものとされています。

大拙さんがおっしゃっている言葉の中に、禅は本性を知るすべであり、自由への道しるべだという意味を持った言葉があります。私たち人間の中には、それぞれに力が備わっているのです。しかしその力をすべて発揮できているかといえば、そうとはいえません。

社会、家庭、地位、さまざまな束縛の中で生きる私たちにとって、禅は本当の自分へと導いてくれるスキルのひとつとなりえるのです。本来の自分が備えている力、機能に気づけていない人は多く、その衝動とは創造・慈悲であるとおっしゃられています。

戦国時代のさなか、なぜ日本人の心に禅が響いたのか。この言葉の意味を感じ取ることでその理由を知ることができます。

鈴木大拙さんが成し遂げたもの

神智学協会の学徒となってからは、禅に関する英文著作を発表するなど、海外への普及に尽力されています。鎌倉に在住していた晩年期にもコロンビア大学にて客員教授をつとめるなどして活躍し、ハーバード大学やハワイ大学などでも講義を行っています。

大拙さんが生きていた時間の中で、どれほどの若者が禅について学んだことでしょう。世界中の人がこれほどまでに禅に触れることができたのは、大拙さんの行動力と人に説き伏せる才能があったからなのではないでしょうか。

鈴木大拙館

鈴木大拙さんの言葉から感じ取れること

大拙さんが残した言葉をすべてご紹介することはできませんが、数々の名言から感じ取れるものをお話していきたいと思います。

偉い人、偉人とは何か

大拙さんの言葉の中に、“偉くはならなくても、正直なひとりの人として信用されるものであればよい”というような言葉があります。人間は誰しもがいつかはその人生の終わりを迎えます。それまでの時間、どれだけ汚れても生活のため、誰かのため、自分のために働き、最期のときにはさようならで終わる。

そんな当たり前のように感じる人生こそ、そんな人生を生きた人間こそ、偉い人だと言いたい。そう語っています。世界中に知られるほどの功績を残さずとも、人は真面目に生きているだけで偉いのだと、そう思うことができれば生きることが楽になるように感じます。

長生きすることにも意味はある

大拙さんはその生涯を96歳という年齢で終えました。現代ですら長生きといわれるその年齢まで人生を歩んできた大拙さんは、こうおっしゃっています。

「90歳にならないと分からないことがある。長生きするものだ」

この言葉を聞くと、人間はいくつになっても、どれだけ年を重ねても分からないことだらけで、死ぬその時まで無知であるのかもしれないと感じてしまいます。

50歳になり、80歳になり、人生の最期を見据えるようになった時、きっとわかることがあるのでしょう。まだまだその時が遠い若者たちに、自ら死を選んでしまう若者たちに、この言葉を聞いてほしいと願います。

鈴木大拙さんが影響を与えた人物

今の若者でも知っている人物、スティーブ・ジョブズも禅に影響を受けた人物です。しかし現代の偉人が禅の思想を知るためには、過去に生きた人々の働きがなければならないのです。その一人が、鈴木大拙さんです。

講義や著書にて世界中に禅を広めた大拙さんとは異なり、異国人と座禅を組み、禅を広めた人物に鈴木俊隆さんという人物がいらっしゃいます。ジョブズ氏は大拙さんによって広められた禅を俊隆さんの著書にて知ることになります。

ジョブズ氏は養子として育ったためか、精神の世界というものに興味を抱き、過去にはインドに放浪の旅へ出かけたこともあるそうです。彼の人生そのものが禅道だったのです。ジョブス氏が生み出した数多くある製品には、いつも禅の精神が潜んでいたのかもしれまねんね。

鈴木大拙館で学び、考える

大拙さんの出身地、金沢には大拙さんの思想に触れられる場所があります。この鈴木大拙館は鑑賞するだけの場所ではありません。いくつもの棟を五感で感じ取ることにより、大拙さんに出会うことができるのです。

大拙さんを知り、思想を学び、そこから自分自身で考える場所です。思索空間と呼ばれる空間では、誰もが景色を眺めながら己の人生や思想、生き方、さまざまなことを頭に思い浮かべるでしょう。それでいいのです。大拙さんに触れ、考えることができれば、彼の説いてきた禅に近づけることでしょう。

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以上、石川県出身の有名人シリーズでした!